手向けの言葉
- 〔カフェ〕 KAFE
- 4月9日
- 読了時間: 2分
更新日:2 日前
『努力ハ天才ニ勝ツ』
大学進学の節目に
大正生まれの祖父から貰った言葉である。
上京前日、米蔵と梨畑を見下ろす私の部屋に
そっと入って来て、筆字で書いた紙を渡してくれた夕方、あの温かい時間を思い出し
道具箱の中から出して額に入れる。
この冬、明治〜大正時代を生きた人物の物語を立て続けに数冊読んだ。
目まぐるしい時代の変化、戦争、貧困の中での再建、開拓地での過酷な生活に七転八倒しながらもたくましく生きる人たち。
その時代に生まれ育ち
農業の世界で、可能性にかけて
文字通り、一生懸命に家族を守った私の祖父は
戦争経験者として学校に招かれ講談したり
農業の勉強について、嬬恋の開拓地に出向いた事もあったという話や、どうやって戦地で死なずに帰って来れたのかという話
孫の私たちにはとにかく沢山自身の経験話を聞かせてくれていた。
繰り返し聞かされていた当時はまた始まったよーと言いながら半ば苦笑いで聞いていたが
今思えば未来へ繋げる事を精一杯やっていた人だ。
紙を渡しながら言葉の意味をゆっくりと丁寧に説明してくれる。
苦労確定の道へ踏み出す孫を送り出す日。
どうかこの子がちゃんと食べていけますように。
精一杯の願いを込めた手向けの言葉
気持ちが折れそうになるたびに思い出し、背中を押してくれた言葉の贈り物。ちゃんと届いてるよ、おじいちゃん。ありがとう。
気持ちを空に送る。
2025年。KAFEにとって
9回目の春、そして10回目の夏を迎える。
毎年不安や希望を胸に踏み出すとき。
今期もまた、新しい気持ちで
大切な言葉たちと共に。前へ!

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